独自のホームページを作成するためにはウェブサーバーを用意する必要があります。
ホームページに掲載する内容=コンテンツは、主に文章と画像です。
あなたの企業やお店自体と商品・サービスを紹介するコンテンツになるでしょう。
作成したコンテンツをターゲットとするユーザーに閲覧してもらう環境としてウェブサーバーが必ず必要になります。
ここでは、ウェブサーバーとは何なのか、どんな準備が必要になるのかをご紹介します。
ホームページ作成に必要なウェブサーバーとは?
ホームページを閲覧する仕組み
ホームページは、ユーザーがインターネットブラウザを介してウェブサーバーからコンテンツをダウンロード・閲覧(ブラウジング)する仕組みです。
ブラウザを通してホームページにアクセスすると、HTTPプロトコルを使用してホームページのデータを取得します。
データは主にHTML、CSS、スクリプトファイル、画像ファイルで構成されています。
ウェブサーバーを使用して、サイト運営者は、画像、HTML、その他のファイルで構成されるウェブサイト・コンテンツを配信し、ユーザーがブラウザを介して閲覧するのです。
このような仕組みを使用することで、安全で快適にホームページの閲覧することが可能となっています。
ウェブサーバーはコンピューター
このように説明すると、何だか難しいもののように思えるかもしれませんが、要するにウェブサーバーはコンピューターです。
会社内で「ファイル共有」を使ったことがあるかもしれません。
非常にざっくり言ってしまうと、基本的には同じ仕組みです。
ホームページのファイルを保存したコンピューターに、別のコンピューターからアクセスしているだけです。
正確にはファイル共有ではSambaなどと言ったサーバーソフトウェアとプロトコルを使用することが多いかと思いますが、ホームページの配信・閲覧にはApacheなどのサーバーソフトウェアを使ってHTTPというプロトコル(通信の規約)でアクセスしています。
この仕組みは、実際パソコン上でも構築することができます。
自社でウェブサーバーを構築すると…
社内のみで閲覧するコンテンツであれば、それでもいいでしょう。
あるいはテスト的に構築してみようと言う段階でもパソコンレベルでいいかもしれません。
しかし一般のユーザー向けにホームページを公開するためには、24時間365日常時アクセス可能とするための堅牢な環境が必要になります。
今回は、インターネットに接続するためのネットワーク環境も含めて一括してご説明していきますが、ホームページを設置するコンピューターが24時間365日稼働していることは当然のことながら、インターネットに接続するためのルーターやファイアウォール等のネットワーク機器もそれに耐えうるスペックが必要になります。
自社サーバーを運用しようとすると、ハードウェアの保守点検、24時間365日に稼働状況監視といった非常に大変な業務が発生することになってしまいます。
現実的にはレンタルサーバーがベスト
世の中にはレンタルサーバーという非常に便利なサービスがあります。
レンタルサーバーとは、上記のウェブサーバー運用業務一切を肩代わりしてくれるサービスです。
一般的には、ウェブサーバーなどの機能を提供するものです。
レンタルサーバーは、長期間利用したい場合などに、コストを抑えたサービスを提供するのが良い選択肢となります。
レンタルサーバーの形態には主なものに2つの種類があります。
専用サーバーレンタルと共用サーバーレンタルです。
ほぼ読んで字の如くなのですが、ほとんどのレンタルサーバーでは両方のプランが用意されています。
レンタルサーバー選定の基準
レンタルサーバー選び方について考えるときに、まず最初に行うべきことは、あなたのニーズを正確に把握しておくことです。
望む利用用途、必要なサービス、希望の使用料金などを検討しておきましょう。
今回はホームページの話ですから、具体的にはどの程度のコンテンツ規模なのか、どの程度のアクセスを見込んでいるのか、といったことが選定の基本条件となるでしょう。
その後、レンタルサーバー毎の特徴を比較しながら、自分に最も合ったサーバーを選ぶことが重要です。
大切なのは、必要な性能やサービスを理解し、予定のない、高価なサービスを購入しないように、賢く選択することです。
共用レンタルサーバーと専用レンタルサーバーの違い
共用レンタルサーバーは、一台のサーバー(コンピューター)の中に、複数の利用者のウェブサイトが共存する形態です。
当然のことながら、他の利用者のファイルにはアクセスすることができないようにセキュリティ権限が設定されています。
一台のサーバーのCPU、メモリ、ストレージを共有することになりますが、それぞれのレンタルサーバーサービスでは、一つのアカウントあたりに一定のCPU、メモリ、ストレージが割り当てられるようになっていて、それぞれの値がホームページ等に記載されていると思います。
専用レンタルサーバーでは、1台のマシン(物理ないし仮想マシン)を借りることができます。
OSのインストールから必要なものでは、サーバーを構築するための専門的な知識が必要になり、初心者にはおすすめできません。
VPSはVirtual Private Serverの略称で、仮想的に専用のサーバーを提供するサービスになります。
VPSの場合ではOSインストールから必要になってきます。
料金は普通、共用レンタルサーバーの方が安価です。
また、月に何千人、何万人規模のアクセスを受けるようなホームページでない限り、共用レンタルサーバーの標準的なサービスで十分です。
レンタルサーバー選びで考慮して欲しい機能
ご自分で、特に「コストを抑えて」ホームページを作成する場合に考慮して欲しいレンタルサーバー機能があります。
WordPress簡単インストール機能と、無料SSL機能です。
WordPress簡単インストール機能
ホームページそのものを作成、運用していく際には「WordPress」というCMSを使うことをおすすめしています。
CMSはContents Management Systemの略称です。
その名の通り、ホームページのコンテンツ(内容)を管理するための仕組みです。
WordPressの使い方については、多くウェブサイトやブログなどで紹介されていて、使い方を検索することがとても簡単です。
また、レイアウトの要となるデザインテンプレートも豊富で、こちらはまた別の記事でご紹介しますが、有料のものを使用すればウェブサイト制作について専門外の方でもかなり高品質なホームページを作ることが可能です。
レンタルサーバーの機能に「WordPress簡単インストール」などの記載があるものを選ぶと、ホームページを作成するために最終的に必要なWordPressのインストールの手間をかなり減らすことができます。
もちろん手動でインストールすることもできますが、MySQLなどでデータベースを用意した上で、サーバーにWordPressのファイルをコピー展開、コンソールまたはFTPソフトからアクセス権限の設定、インストールページにアクセスして設定しておいたMySQLのDB名、ユーザー名、パスワードを入力…と言った煩雑な作業が待っています。
ひょっとしたら基本的な必須サーバーウェアであるPHPも設定されていないかもしれません…。
初心者のレンタルサーバー選びには、必ず「WordPress簡単インストール」またはそれに似た名前の機能があるものを選びましょう。
無料SSL機能
少し前までは、ウェブサイトへのSSL導入は必須ではありませんでした。
2018年ごろから、GoogleがSSLの導入を強く推奨するようになり、Chrome等のブラウザでSSLが導入されていない(http://で始まるアドレス)サイトでは簡易的な警告表示がされるようになりました。
SSLにはいくつかの役割がありますが、最も基本的なものはサイトアクセスの暗号化です。
http://〜で始まるSSLが使われていないサイトとの通信は、暗号化されない平文でデータのやりとりが行われます。
そのため、通信パケットを拾って再構築するなどして通信を傍聴されると、どのIPアドレスがどんなページを表示したか知られる可能性があります。
さらには、お問い合わせ等のフォームや購入・注文フォームが非SSLの場合、ユーザーが入力した氏名住所その他の個人情報についても同様に「盗聴」される可能性がある、ということです。
SSL導入のサービスは、以前はグローバルサインなどの有料サービスを利用するか、「オレオレSSL」などと冗談で呼んでいたようですが簡易的に自己SSLを構築してしまう方法もあったようです。
そんな中で2014年に登場したLet’s Encrypt(encrypt=暗号化する)は、無料でSSLを導入できるサービスです。
有効期間は90日間のため、手動で導入すると、90日ごとに何らかの形で更新する必要が出てきます。
クーロン(cron、linux=OSの一種 上で定期的にジョブを処理させる仕組み)などを使い、自動化する方法もありますが初心者には難しい作業となります。
「使える」レンタルサーバーでは、ボタン一つでLet’s Encryptによる無料SSLを有効化し、以後自動で更新までしてくれる機能を持ったものがほとんどです。
一部のレンタルサーバーでは、本来は有料のSSLサービスを無償提供しているものもあるようです。
初心者のレンタルサーバー選びには、必ず「無料独自SSL」またはそれに似た名前の機能があるものを選びましょう。
なお、独自ドメイン(○○○○.comなど独自のアドレス)を使用しない場合には、レンタルサーバーから提供されるサブドメインやサブディレクトリ名でのアドレスで通常SSLが効いていますから、無料独自SSLについては気にする必要はありません。
ですが先々、ホームページをビジネスに活用していく場合(こちらはまた別記事で詳しく解説いたしますが)、ホームページをどうやってユーザーに見てもらうかを考える際に独自ドメインが必須になってきますので、可能な限り独自ドメインを取得、SSL化しましょう。
主なレンタルサーバー
ここでは主なレンタルサーバーをご紹介します。
料金やセキュリティ、使いやすさで選ぶことになります。
さくらインターネット
さくらインターネットは大手インターネットサービスプロバイダーで、業界最高水準のサービスを提供しています。
サービス提供領域として、インターネット通信をはじめ、サーバー、クラウド、データストレージなどのサービスを提供しています。
さくらインターネットの速度や安心感は、他のサービスプロバイダーと比較しても抜群です。
ほとんどのレンタルサーバーサービスが、ドメインも同時に契約しないとやや設定が難しい中で、ドメインサービスをお名前.comなど他のサービスと併用しやすいレンタルサーバーです。
- WordPressクイックインストール ○
- 無料SSL ○
お名前.com
https://www.onamae.com/server/
独自ドメインサービスで有名なお名前.comのレンタルサーバーです。
インターネット関係の超大手GMOグループが運営するサービスです。
ドメインもレンタルサーバーも同一のサービスを利用すると、料金については要検討となりますが、アカウント情報の管理が少し簡単になります。
料金を優先するなら、独自ドメインはお名前.com、レンタルサーバーはさくらインターネットという構成で、比較的簡単な設定で実現可能です。
独自ドメインを取得する場合、お名前.comには価格の優位性があり、さらにお名前メールという独自ドメインを使用したメールを運用するサービスでも安定性抜群で使いやすいサービスです。
ただし例えば、独自ドメインとメールサーバーはお名前.com、レンタルサーバーはさくらインターネット、という環境構成にする場合、費用はとても良いのですが、設定にコツがいるため初心者にはおすすめできません。
- WordPressかんたんインストール ○
- 独自SSL ○
エックスサーバー
エックスサーバーは、比較的安定性の高いレンタルサーバーです。
Webサイト制作やウェブシステムの構築など、さまざまなWebサービスを提供するのに最適です。
セキュリティ管理も容易で、Webサーバー運用の経験者なら簡単にサービスを提供することができます。
独自ドメインを一つ、永久無料で使えるため、その点も便利かもしれません。
複数の独自ドメインを利用する場合には、さくらインターネットに比べるとやや使いにくくなる場合もありますので注意が必要です。
- 簡単インストール ○
- 無料独自SSL ○
ConoHa WING
ConoHa WINGとは、GMOグループが提供するウェブに強いレンタルサーバーサービスです。
特にWordPressを利用してページの表示速度にこだわりたい場合にはおすすめのレンタルサーバーになります。
ConoHaは、WordPressに最適化するよう設計されたKUSANAGIに対応していて、WordPressでウェブサイトを構築する際には大きな強みとなっています。
WordPressを運用する場合、セキュリティプラグインの導入は必須です。
KUSANAGIでNGINX(エンジンエックス)というベースのサーバーウェアを使用している場合、よく利用されていて使い勝手も良い「All-In-One Security (AIOS) – Security and Firewall」ではhtaccessを利用した機能が一部使えない場合があります。
クッキー認証やログインページの独自化などをhtaccessで実現している他のプラグインも同様です。
NGINXに対応している別のセキュリティプラグインの導入を検討する必要も出てきますので考慮が必要です。
同じ「ConoHa」でもConoHa VPSというサービスがあり、前述の専用サーバーにあたり、こちらはWINGに比べると格段に使い方が難しいので注意してください。
- アプリケーションインストール ○
- 無料独自SSL ○
ロリポップ!
ロリポップは比較的使いやすいレンタルサーバーです。
こちらもGMOグループの一社GMOペパボ社が運営する比較的古いレンタルサーバーです。
使いやすいインターフェイスや、サポート体制も充実しています。
- 簡単インストール ○
- 無料独自SSL ○
Bizメール&ウェブ
https://www.ntt.com/business/services/cloud/rental-server/bizmw.html
誰もが知っている通信大手NTTが運営するサービスです。
メールサーバーとウェブサーバーの機能を提供しています。
SSLを導入する場合には、有料のSSLを導入するしかないため、SSLサービスの予算も必ず含めて検討する必要があります。
弊社のホームページ制作プランの一つ、オーダーメイドプランではお客様ご自身で契約されたサーバー等環境での制作もお受けしていますが、無料SSLを導入されたい場合にはBizメール&ウェブでの制作はお断りさせていただいております。
有料のSSLサービス導入をご検討いただくか、90日に一度Let’s Encrypt導入作業(有料)が必要になります。
- 追加アプリ ○
- 無料独自SSL ×
アルファメール
https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/hosting/
こちらは大手商社、大塚商会が提供するレンタルサーバーです。
メールサーバーとウェブサーバーの機能を提供しています。
SSLを導入する場合には、有料のSSLを導入するしかないため、SSLサービスの予算も必ず含めて検討する必要があります。
弊社のホームページ制作プランの一つ、オーダーメイドプランではお客様ご自身で契約されたサーバー等環境での制作もお受けしていますが、無料SSLを導入されたい場合にはアルファメールでの制作はお断りさせていただいております。
有料のSSLサービス導入をご検討いただくか、90日に一度Let’s Encrypt導入作業(有料)が必要になります。
- ブログツール ○
- 無料独自SSL ×
ホームページを自分で作成するのにレンタルサーバーが必要な理由
自分でホームページを作成するためには、必ず何らかのウェブサーバーが必要です。
レンタルサーバーを使う理由として、手持ちのPCや新たに購入した専用サーバーマシンを使うよりも、コスト的にも構築のスピード的にも非常に大きなメリットがあります。
レンタルサーバーなら、自分でサーバー環境を構築したり、メンテナンスを行う必要がないのす。
また、レンタルサーバーなら、他にはない専門的なサービスを利用することも可能です。
例えば、SSL証明書のインストールやサーバー内のデータのバックアップなどを簡単に行う機能もあったりするので、ホームページ作成においてはとても役に立つでしょう!
どのレンタルサーバーを選ぶかは、最終的には使い勝手の良さなど好みが分かれる部分はありますが、個人的にはまずは「さくらインターネット」、WordPressの高速化を狙うなら「Conoha WING」と言ったところでしょうか。
今回の記事では弊社基準でのレンタルサーバー選びのポイントをお伝えしました。
まずはお好みのレンタルサーバーを選定、契約して使い始めてみましょう。
レンタルサーバーの提供する基本ドメインを使ってしまってWordPressまでインストールできれば、あなたのホームページをある程度の形まで作れてしまいます。
(基本ドメインから独自ドメインに変更するのがやや困難なレンタルサーバーも多い(さくらインターネット以外)のでご注意を!)
弊社が提供する「じぶんプラン」は、今回ご紹介したウェブサーバーなどご自身でホームページを作成する環境とツールを予めご用意したものです。
訪問サポートも併用していただくと、ホームページ作成のレクチャーから制作のサポートまでお受けいただけて、ホームページ作成をさらに加速することができます。
次回は引き続き、ホームページ作成に必要な環境の一つ、独自ドメインについて解説する予定です。
本記事が事業者の皆様のお役に立ちますように。